日本語教師奮闘記

日本語教師です。普段はツイッターでしょーもないことばっかり呟いてます。

前回の補足

※この記事の補足です。

JLPTには文型積み上げが効果的? - 日本語教師奮闘記

 

自分で書いたの読み直してみましたが、たしかにこれだと「某基金では外交官などにしか日本語教育を行っていない」と言ってるように見えますね。反省。


前回の記事で触れていたのは

 

https://jfstandard.jp/casereport/ja/render.do

 

こちらの『8. 『まるごと 日本のことばと文化』を使った実践』のあたりです。

 

この実践報告では「交換留学生として来日する学生」「外交官・公務員日本語研修」を対象にしたコースや、「ちょっとした楽しみや趣味の一つとして日本語を勉強したいと思っている人」のためのコースなどが出されています。なので、外交官相手の授業というのは国際交流基金の活動のほんの一例です。このページにはありませんが、小学生や年金生活をしているような人を対象に教えることもあるとのことです。


ということで、ちょっと言葉が足りませんでしたが「外交官相手の授業しかやってない機関の報告はあてにならない」と言いたいわけではありません。ただ、外交官はもちろん「交換留学生に選ばれる学生」や「趣味として日本語自体を楽しもうと思っている学生」では、国内にある日本語学校の学生の比較対象にはなりにくいのもの事実。なので、同じ条件、つまり国内日本語学校で「まるごと」を使用した実践報告がないとその良さもなかなか信じられないってことです。だからこそ俺の学校での結果を共有してみようと思ったわけですが。


まあ、そもそも国際交流基金のミッションが『「文化」と「言語」と「対話」を通じて日本と世界をつなぐ場をつくり、人々の間に共感や信頼、好意をはぐくむ』とされているので、出稼ぎに来るような学生とでは比べられないのはしかたないことなんですけどね。

 

基金では日本や日本文化に興味を持った人に日本語教育を提供する、つまり内発的な動機づけからスタートする場合も多いのに対して、日本語学校では日本語はあくまでツール。日本語自体に興味があるわけではないし、他の国に行った方が簡単にたくさん稼げるとなればそっちに流れる人も多数。就職に必要だからという完全に外発的な動機な場合も多いわけです。そうなると出発点がそもそも違う。このへんがまるごとに手を出しにくい理由の1つなのかなとも思えます。


てことで、「まるごとを国内日本語学校で使用した実践報告がなかなか見当たらないから、うちで導入しても本当に効果があるか分からない」と悩んでいる人に向けて俺の使用状況をちょっとシェアしたというわけです。以上、補足でした。